Santenは、高品質な製品を安定して供給し、医薬品業界全体の信頼を高めるために、クオリティカルチャーの推進に力を入れています。

クオリティカルチャーは、品質にこだわる企業文化を意味し、社員のマインドや行動の土台になるものです。

点眼剤は大きく、①水の精製、②調剤、③充填、④検査、⑤包装・保管の5つのステップで生産されており、それぞれのプロセスごとに最適な生産品質管理基準が設けられています。Santenは、高純度の水の使用、徹底した空調管理によるクリーンな生産環境の確保、製造オペレーターの厳格な教育等、高い製品品質を追求してきました。高品質な製品製造と製品の安定供給を支えるのは、生産と品質保証に関わる従業員です。生産に関わるすべてのメンバーはGMPを遵守し、定期的に教育訓練を受けています。

  • Good Manufacturing Practiceの略。医薬品等の製造品質管理基準。

今回は、点眼剤の品質を特に左右する調剤、充填、包装について、そのプロセスのエキスパートである「職人」たちのコメントとともにご紹介します。

点眼剤の製造プロセス

水の精製 調剤 充填 検査 包装・保管

暗黙知を形式知化し、高品質な製品供給の維持に取り組む

生産本部 能登工場
製剤1チーム
松本 能久
生産本部 能登工場
製剤1チーム
松本 能久
生産本部 能登工場
製剤2チーム
干場 一吉
生産本部 能登工場
製剤2チーム
干場 一吉
生産本部 能登工場
製剤2チーム
岸田 直樹
生産本部 能登工場
製剤2チーム
岸田 直樹

話を聞いた生産本部製剤チームのメンバー

私たちが担う調剤・充填工程では、常に高い空気清浄度レベルを維持しながら製造しています。

 

無菌製剤である点眼剤の製造においては、細菌の侵入は許されません。そのため、空気管理に細心の注意を払い、教育を受けた資格保有者のみが無菌作業者として従事しています。充填エリアにおいては、外科手術室に相当する「グレードA」のクリーンレベルを維持しています。

さらには、定められた製品規格を順守するためには、調剤・充填機などの細やかな調整や丁寧なメンテナンスが欠かせません。例えば、部品一つをとっても、取り付け時のわずかな歪みが製品の品質に影響を及ぼします。複数のラインが同時に稼働している中で、各機械がどのような状況なのか、不具合の原因は何か、最善の対応は何か、瞬時にかつ冷静に判断する必要があります。こうした判断や対応は、個々人の経験や感覚などの暗黙知になりがちですが、高品質な製品の安定供給を堅持するためには、誰もが同じオペレーションを実践できるように、さまざまな知識やスキルを「見える化」し、形式知として共有することが大切です。

私たちは、セッティングやメンテナンス後の確認作業を手順化・数値化し、チーム全員が高い水準でのオペレーションを実現できることを目指しています。

加えて、機械に直接触れることで得られる学びや気づきもあるため、メンバーと一緒に現場に入り、個々の能力やパーソナリティに合わせたOJT(On the Job Training)も大切にしています。より盤石な安定稼働を実現するにはどうするべきかを日々追求し、技術やスキルをより一層磨いて他のメンバーに伝承していきます。

無菌管理された充填室

無菌管理された充填室

無菌管理された充填室

調剤タンクの稼働を目視で確認する様子

現場力を最大化させ、より強固な安定稼働を実現する

生産本部 能登工場
包装1チーム
梶原 忠史
生産本部 能登工場
包装1チーム
梶原 忠史
生産本部 能登工場
包装1チーム
野崎 哲生
生産本部 能登工場
包装1チーム
野崎 哲生
生産本部 能登工場
包装2チーム
細径 健一
生産本部 能登工場
包装2チーム
細径 健一

話を聞いた生産本部包装チームのメンバー

調剤・充填工程の後、製品は検査を経て包装工程へと進みます。正確なラベリングと印字、そして包装作業を行うことで、最終的に患者さんの手に渡ります。

 

包装工程には、シュリンクラベル(加熱により収縮する樹脂製のラベル)の巻き付け、使用期限等の印字、内箱梱包と添付文書の同梱、外箱梱包があり、全てのステップにおいて、製造スピードに合わせた高い品質でのオペレーションが求められます。それを支える鍵は、さまざまな工夫を施した製造機械と、機械を操作するメンバーのスキルと知識です。

複雑な構造の機械は、たった一つの部品の不具合で動かなくなることもあります。日々、計画した数量の製品を確実に生産するために、常にラインの細部まで目を行き届かせ、「この部品はそろそろ換え時になるから、発注しておこう」など、先のことを考え行動することが求められます。また、24時間稼働のため、深夜など社外のサポートを受けられない状況下では、自力で機械の不具合を解消しなければいけない時もあるため、チーム全体の知識やスキル向上のために、一緒に現場に入って、技術伝承することを心がけています。

自分たちが創意工夫して磨き上げてきた技術が、高品質な製品の安定供給を支え、その製品が患者さんに直接貢献しているという誇りと責任を持って、これからも日々の製造に向き合っていきます。

無菌管理された充填室

包装に携わるメンバーが設計から製作まで行った印字検査装置。包装機器で外箱に印字をする

無菌管理された充填室

設備の図面を見ながら改良や工夫を行う

■能登半島地震からの復旧

 

能登半島にあるSantenの工場は、2024年1月に地震に見舞われました。従業員自身も被災しましたが、安定供給という使命を胸に、被害状況を把握し、迅速な復旧計画を立てました。

従業員の安全を最優先にしながら、生産再開に向けて取り組み、3月末には大部分の生産ラインの稼働を再開。この短期間での復旧は、生産に対する従業員の責任感があってこそ実現したものです。2024年9月末には、GMPに則った確認を経たうえで、全面復旧しています。

無菌管理された充填室

1985年に竣工した能登工場。点眼液の製造では世界トップクラスの規模を誇る

<能登半島地震におけるSanten>

能登工場はSantenグループの製造の6割以上を担う主力工場であり、長期停止は事業継続に甚大な影響を及ぼす可能性がありました。そのため、地震翌日には危機管理委員会およびBCP対策本部を立ち上げ、従業員の安全を最優先に、早期の復旧と安定供給に向けた体制を構築しました。
→詳細は統合報告書をご覧ください

Santenはこれからも、工場間でノウハウの共有や、地域・部門を越えた人材の交流・交換を行うことで、社員間の連携を促進し、メンバーの技術と知識を高めながら、高品質な医薬品を世界中の患者さんに届けていきます。