生産

高品質と安定供給を支える生産現場

Santenは、眼科のスペシャリティ・カンパニーとして、世界60以上の国・地域で約5,000万人を超える人々の目の健康をサポートしています。患者さんや社会に貢献し続けるため、高品質な製品を安定的に供給し続けることは私たちの責務です。
点眼剤として世界最大級の規模を誇る能登工場、グローバル成長を支える製造拠点の滋賀プロダクトサプライセンター、成長著しい中国地域をカバーするSanten唯一の海外工場・蘇州工場(中国)の3工場体制を基盤に、世界中の患者さんの眼科医療ニーズに対応しています。

品質へのこだわりと取り組み

患者さんは、製品の品質を必ずしも目で確認することができません。それゆえに、ヘルスケア企業における品質の確保は、患者さんや医療関係者からの信頼の基盤を担う重要なミッションだと考えます。安心・安全な製品を確実にお届けするため、全ての生産プロセスにおいてGMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理に関する基準)を遵守し、さらにより高い品質管理を目指して様々な工夫をしています。中でも、Santenは原料の「水」、製造ラインの「空気」、管理する「人」について徹底的にこだわっています。

生産プロセス

点眼剤にとっての命ともいえる水には、安全性はもちろん、品質を守るために、高い純度が求められます。Santenでは、医療用点眼剤はもちろん、一般用点眼剤の原料水にも、物理処理、化学処理、イオン交換処理、ウルトラフィルトレーション※1、蒸留などの精製工程を経た水だけを使用しています。その純度は、GMP※2でも特に厳しい品質管理が求められる注射用水に匹敵します。また、タンク、ライン間をつなぐパイプや機器の洗浄、滅菌にも精製した水を使用し、水への高い品質基準を追求しています。

  1. 水中のコロイド状物質、微生物および高分子物質を除去する半透膜を用いた浄水方法
  2. Good Manufacturing Practiceの略。医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理に関する基準

製造用水の精製フロー

空気

点眼剤は、日本においては日本薬局方※3で「無菌製剤」と定義された医薬品であり、生産工場では、細菌等の侵入に十分注意する必要があります。
3工場において、リスクアセスメントを行い、適切なゾーニングや、室内圧と気流のコントロール、人・物の動線の適切な設計等を行い、空気管理を徹底しています。具体的には、作業環境を細かく区分したうえで汚染リスクに応じて空気清浄度レベルを調整し、最適な空調コントロールを徹底し、さらに常にモニタリングを行うことによって、規格に適合したクリーン度を維持しています。
これにより、秤量および調剤エリアでは1立方メートル中に0.5ミクロン以上の空中浮遊微粒子が非作業時で35.3万個以下、作業時で353万個以下という「グレードC※4」の空気清浄度を維持しています。最も菌汚染に注意が必要な充填エリアでは、非作業時・作業時ともに3,520個以下となる「グレードA※4」という外科手術室に相当するクリーンレベルを実現・維持しています。

  1. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づき、労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた、医薬品の規格基準書
  2. EU-GMP 無菌医薬品製造区域の空気清浄度によるクラス分類
 
充填室設計時の気流シレーションCG

充填室設計時の気流シレーションCG

無菌管理された充填室

無菌管理された充填室

高品質な製品製造と製品の安定供給を支えるのは、生産と品質保証に関わる従業員です。患者さんの視点に立った品質や使いやすさを追求するため、生産に関わるすべての従業員はGMPを遵守し、定期的に教育訓練を受けています。また、3工場間でノウハウの共有や、地域・部門を越えた人材の交流・交換を行うことで、社員間の連携を促進し、知識や技術のさらなる向上を目指しています。

 
経験豊富な社員がチームメンバーに対し技術指導を行っている

経験豊富な社員がチームメンバーに対し技術指導を行っている

現場での技術指導だけでなく、知識の習得・向上を目的とした勉強会を定期的に開催

現場での技術指導だけでなく、知識の習得・向上を目的とした勉強会を定期的に開催

安定供給への取り組み

能登工場を中核に、滋賀プロダクトサプライセンター、蘇州工場(中国)の世界3工場体制を敷き、日本、海外を含め多様化する需要に対する生産能力の拡大を通じ、早期にキャパシティを構築することで、安定供給を図っています。グローバル市場における事業成長と、新たな疾患領域への事業拡大によるソリューションの多様化に迅速に対応するとともに、製品ライフサイクルに合わせた最適化に向け、各生産拠点を強化していきます。

Santenの生産拠点

工場操業年年間生産数特性生産品目(例)
能登工場1985年約3億本世界最大規模の点眼剤製造工場医療用点眼剤の約60品目、一般用点眼剤の約30品目
滋賀プロダクトサプライセンター1996年8千万~1億本日本・欧州・韓国・アジア諸国への製品を供給
製剤の工程を確立する役割を担う
医療用点眼剤を中心に、特殊製剤(ステロイド、軟膏等)、治験・診断薬等
蘇州工場2008年3千2百万本中国地域向け点眼剤製造工場医療用点眼剤
  • 生産本数は5mL換算 (2022年度末時点の実績)