Santenは、眼科領域における医薬品の研究開発、製造、販売・マーケティング活動をグローバルに行い、世界60以上の国・地域で事業を展開し、点眼薬の年間製造本数は約4億本、約5,000万人の人々の目の健康をサポートしています。

Santenの事業活動は、あらゆる場面で公務員や医療関係者等との交流が多く、企業活動において高い透明性を確保することが求められており、贈収賄やあらゆる腐敗を引き起こさないためにも、すべての事業活動および関係者との交流において誠実さと倫理観を中心に据えることが必要不可欠と考えています。

透明性の高い事業活動においてあらゆるステークホルダーと信頼関係を築き、維持するため、このたび私たちは贈収賄・腐敗リスクを適切に管理するグローバルで統一された第三者(取引先)デューデリジェンス(以下、第三者DD)のプログラムを導入しましたので、その取り組みについてご紹介します。

ビジネスリスクと第三者デューデリジェンスの意義

第三者DDとは、取引先やパートナーとなる企業について、その背景や評判などを調査し、コンプライアンスを順守した持続可能な取引を構築し、維持する一連の取り組みを意味します。第三者との取引にかかる堅固な贈収賄腐敗防止プログラムはとりわけヘルスケア企業には必須であり、社会・執行機関からも要請されており、グローバルに事業展開する各企業では、各国の法律や文化、そして社会的な責任を理解したうえで導入しています。

Santenの第三者DDの強化は、米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)など、厳しさを増す国際的な贈収賄・腐敗防止に関する法規制に沿った取り組みです。

これらの規制では、企業と契約を締結し、取引を行うビジネスパートナーなどの第三者が腐敗行為を行うと、多くの場合でその企業も責任を負うことになります。特に、贈収賄や腐敗行為は、企業の評判を大きく傷つけ、社会全体の信頼を損なう可能性があります。

贈収賄や汚職は世界中で起こりうるものであり、Santenが事業を行うほぼ全ての国で贈収賄を取り締る法律が制定され、執行は日本を含め強化される傾向にあります。FCPAを中心とする域外適用法においても執行が極めて強力で、罰金等のペナルティも非常に重いものとなっています。ヘルスケア事業は、外国公務員等との接触機会の多さに鑑み贈賄リスクが高く、FCPA施行以降に発生したFCPA取締り件数では、15業界のうちヘルスケア業界が第2位という報告もあります。

そのため、Santenは、昨年から今年にかけて、この第三者DDのプログラムについて、グローバルで統一された指針の策定やリスクチェックのツール導入、社員のトレーニングを推進し、第三者との取引についてのデューデリジェンスを充実させる取り組みを進めてきました。

リスクの多寡に応じ対応する「リスクベース・アプローチ」で取引先の透明性を徹底的に検証

各国で法律やビジネスの慣習は異なり、一律の基準で取引先を評価することが難しいため、Santenでは、贈収賄が頻繁な国や業界の企業など、とりわけリスクが高いと考えられる取引先に対して重点的かつ厳格な調査を実施する「リスクベース・アプローチ」を採用していますが、それは世界各国の規制当局が推奨しているところでもあります。

多様なリスクに対応するSantenのコンプライアンス体制確立への歩み

第三者DDの取り組みをリードするリーガル&コンプライアンスのロバート・ヴァン・リーアと山田真由美は次のように話します。

 

リーガル&コンプライアンス
グローバルヘッドオブコンプライアンス
バイスプレジデント
ロバート・ヴァン・リーア

「法的枠組み、執行慣行、贈収賄や汚職に対する文化的な捉え方、政治的・経済的安定のレベルなどの相違から、リスク評価は、国/地域ごとに大きく異なります。さらに、コンプライアンス・モニタリングのためのデジタル・ツールへのシフトも顕著ですが、地域により受け入れ方にばらつきがあります。

グローバルなガバナンス体制の確立は、Santenの急速なグローバル化と新疾患領域への参入に伴う複雑かつ変化するリスクを管理する上で極めて重要です。Santenが腐敗リスクの高い新規市場に参入する際、グローバルなガバナンス体制があれば、強化された第三者DDプロセスを迅速に展開し、より厳格な管理を実施することができます。

私たちが、先を見据えたプロアクティブなコンプライアンス体制を構築することで、患者さんに常に安全で効果的かつ倫理的に開発された治療を届けることができると信じています。」

 

リーガル&コンプライアンス
グローバルコンプライアンス マネージャー
山田真由美

「本プログラムの構築・導入においては、他部門の社員の理解が不可欠でした。同じコンプライアンス部門内でも各地域で遵守すべき法令の厳しさが異なるなどのチャレンジがあり、関係部門間で何度も議論を重ね、あらゆる工夫を凝らしてプログラムを構築しました。

そしていざ運用を開始してみると、対象となる取引先の種類、各国・地域の腐敗状況によっては一律のSOPを適用することの難しさも判明したため、贈収賄リスクを適切に明示しながら、様々な場所で、よりSantenにふさわしいプログラムになるよう最適化を図りました。

コンプライアンスはともすればビジネスのブレーキと捉えられることがありますが、ひとたびコンプライアンスリスクが顕在化すると回復しがたい法的社会的ダメージを受けるのみならず、Santenの製品・サービスを待つ患者さんや社会に価値を提供しつづけることができなくなります。プログラムの適切な運用を通じて社会からの信頼と期待に応えていきたいです。」

基本理念に基づき、社会の持続的な発展に貢献する

わたしたちは、法律の条文だけでなく、その背景にある社会的な問題に鑑み、何をすべきかを明確に判断する必要があると考えます。

医療関係者や政府高官に関連した汚職や賄賂は、多くの国で大きな社会問題となっており、結果として、社会医療制度は歪められ、患者さんや医師、人々が適切な医療を受ける機会が奪われる可能性があります。この問題にSanten単独で対峙するだけでは不十分と考えています。Santenが関わるすべての人々に「影響を与え、巻き込み」、全員が社会のために正しい方法でビジネスを行う必要があります。

Santenは、汚職や贈賄だけでなく、また新たな別のリスクや従業員の教育の充実など、グローバルでコンプライアンスをさらに強化し、企業としての一層の成長を目指すとともに、社会全体の持続可能な発展に貢献していきます。