アジア地域の眼科医を対象にドライアイのより良い診断・治療の支援を目指すフレームワーク
Santenは「天機に参与する」という基本理念に基づき、長年にわたり人々の目の健康維持・増進に貢献してきました。この基本理念は、「自然の神秘を解明して人々の健康の増進に貢献する」という意味で、社名の由来でもあります。
眼科を専門とする企業としてSantenは、この基本理念のもと、世界中の患者さんや生活者、医療関係者の方々への価値ある製品やサービスの提供を通じて、人々がそれぞれの最も幸福な人生を実現する世界「Happiness with Vision」の実現を目指しています。
その実現を目指して、社内でグローバルに行っている取り組みの一つが、2020年度から始まった社内表彰制度「Santen Value Award」です。
「Santen Value Award」は、世界各地でSanten社員が行っている様々な取り組みのうち、基本理念を体現した優れた実践例を称え、国や地域を越えて互いに学び合うことを目的としています。国内外のSantenグループの全ての社員・取り組みを対象に募集を行い、各地域・部門からの推薦を経て、社長自らが審査を行い、社長賞として1年に一度表彰します。その中から特に優れた案件は、大賞である「天機に参与する賞」として表彰されます。
2022年度の「Santen Value Award」には、4つのプロジェクトが選定され、「天機に参与する賞」に選ばれたのは、患者さんや生活者・医療関係者への価値提供につながる、2つのプロジェクトです。
アジア事業のプロジェクトチームは、ドライアイの診断方法が確立していないアジア地域で、診断と治療のレベル向上に取り組み、ドライアイの継続治療の必要性の理解促進に貢献しました。
>ドライアイとは 【英語:Dry Eye 】
アジア全域で見ると、ドライアイの診断と治療は、地域や医療機関によってその対応が大きく異なります。その背景には、アジアでは、ドライアイについての標準の診断方法が確立されていないこと、そのためにドライアイという病気そのものに対する認識や症状に対する理解度が眼科医によって幅があることがあります。結果として、仮に治療が行われても多くの場合は一時的な症状の緩和や改善に留まっています。
本プロジェクトチームは、アジア地域の眼科医を対象にドライアイのより良い診断・治療の支援を目指し、アジア各地の社員から成るワーキンググループを立ち上げました。そして、アジアのキー・オピニオンリーダー(KOL)に参加いただき、ドライアイに関するグローバルでの最新知見や専門性を活かした標準的なフレームワークを策定しました。また、多様な診療状況にあるアジア各国・地域に対して、ドライアイに関する正しい理解や診断・治療方法を浸透させるために、各国・地域の眼科学会等と連携して、ガイドラインの文書化を進めました。この取り組みの結果、アジア各地で、ドライアイ診療の近代化の促進と人々の生活の質(QOL)の向上に貢献し始めています。今後は、このガイドラインをアジア全域の臨床に普及させていくことを目指しています。
本プロジェクトチームは、日本で成功したビジネスモデルを、中国の状況に合わせて最適化し、緑内障治療の浸透に取り組みました。多くの国や地域で失明原因の上位となっている緑内障について、中国では専門医の数や設備が十分ではなく、診断や治療の標準化が課題となっていたからです。
本プロジェクトチームは、中国における緑内障の診断・治療における課題を解決するために、日本事業の担当者と緊密に連携しながら、日本における様々な成功事例を分析し、Santenとして患者さんや医療関係者に提供できる価値をどのように訴求するかなどを検討しました。そして、中国の市場環境や営業現場の状況を踏まえて、社員間での共通理解を醸成する手法や、部門の垣根を越えた協力推進体制の整備、計画実行のための管理手法の確立などに取り組み、中国ならではの独自のアプローチ方法を構築しました。
それらを基に現地MR(医薬情報担当者)が、Santenとして統一されたストーリーとメッセージを携えて、国内の300人の眼科医にアプローチしました。その結果、中国での緑内障治療薬の市場が新型コロナウイルスの影響により縮小傾向にあった中で、 Santenの緑内障治療薬の販売は前年を上回る結果となりました。この日中連携の成功は、緑内障以外の眼科疾患を含め、中国におけるSantenの眼科医療への貢献のさらなる拡大を期待させるものです。また本件は、Santenのグローバルな組織連携のマインドセットづくりにも寄与する好例であることも、受賞理由のひとつとなりました。
アジア地域の眼科医を対象にドライアイのより良い診断・治療の支援を目指すフレームワーク
中国・緑内障治療の浸透を目指すプロジェクトチーム
その他に、2022年度の「Santen Value Award」には、Santenの米国子会社であるInnFocus社による、眼科医療機器「PRESERFLO MicroShunt」の素材となるポリマーから塩素を低減・除去する方法を開発する改善プロジェクト、そしてデジタル&インフォメーション・テクノロジー部による、サイバー脅威に備えるための「グローバル・フィッシング・ゲーミフィケーション・プラットフォーム」の導入のプロジェクトも選ばれました。
今回の「Santen Value Award」について、Santenの代表取締役社長兼CEOである伊藤 毅は、次のように述べています。「各プロジェクトは、患者さんや生活者のアンメットニーズに先んじて応えること、または、Santenの事業を支える新たなソリューションや価値を創出することにより、全社に大きな貢献をしています。Santenで働く一人ひとりが、地域や国、言語や文化などの壁を越えて英知を結集し、組織一丸となって取り組めば、Santenにしかできない価値提供を、さらに社会に届けていくことができます。今年度の表彰内容から得られる学びや気づきが、これからのSantenにさらなる成長をもたらしてくれると確信しています。」