ヘルスケア企業における品質保証は、患者さんに安心・安全な品質の製品を安定して提供し続けるためには欠かせない役割のひとつです。Santenの品質保証本部の戦略の全体像と、その中から具体的な取り組みをご紹介します。

強固なグローバル品質保証体制の確立に向けて

品質保証本部では、世界中の人々に「見る」を通じた幸せをお届けするために、製品・サービスの多様化や事業地域の拡大、各国・地域の医薬品や医療機器に対する規制強化に対応し、グローバルレベルでより強固な品質保証体制を構築することを目指しています。社内外のさまざまな環境の変化もふまえ、2025年に向けては5つの戦略項目を設定し、その戦略項目に基づく複数の重点施策に取り組んでいます。

このうち「Quality Culture(クオリティカルチャー)」は、Santenのコーポレートブランドをグローバルで支える重要な要素です。安心・安全な製品を安定して供給するために、研究開発の段階から、患者さんや医療機関への情報提供、製品使用後のフォローまで、製品にかかわるすべての人が品質を守る意識を持ち、自発的に行動することができる組織文化を全社に醸成していくことが重要です。

今回は、現在、滋賀工場・能登工場で先行して実施しているクオリティカルチャー醸成の活動を紹介します。今後はグローバルに、製造部門や品質保証部門を超えて全社に展開していきます。

当社は、40年にわたり回避可能な失明の予防および治療に先駆的に取り組んできた世界的な非政府組織であるOrbis International(Orbis)と2020年より提携しています。

滋賀工場・能登工場における全員参加のクオリティカルチャー醸成

滋賀工場と能登工場では2021年度よりクオリティカルチャーの醸成活動に取り組んでいます。この背景には、当時、同業他社が重大な規制違反によって相次いで行政処分を受けたことによる、業界全体での意識の高まりがあります。各工場では、これまでも自己点検などの品質保証のための取り組みを行ってきましたが、全員が参加し、当事者意識をもって関わることができるよう、さまざまな活動を企画し、展開しています。
 

具体的には、まずは本部長からのメッセージ発信に加え、それぞれの工場スローガンの策定や、それに基づく各チームや個人の行動目標の設定を行いました。

また、工場のメンバーが工場長や事務局とともに工場内の各現場を回る「現場ウォーク」や、Good Manufacturing Practiceに関するクイズなどを用いてクオリティカルチャーへの意識を高めるイベント、他社事例を用いて部署横断の小グループでディスカッションを行うワークショップなどを開催しました。部署を越えて、品質について共に考え、現状の課題や目指す姿について意見を出し合う機会を設けました。
 

一連の取り組みを進めるなかで、クオリティカルチャーが部署を越えた共通の話題となり、イベント以外の場でも品質について語り合う機会が増えてきました。ワークショップ参加者からは、別部署のメンバーと話す機会ができて良かったという声も上がっています。

現場ウォークは、自身の所属とは異なる部署に入ることで、新鮮な目で現場を見ることができ、回を重ねても新たな発見があります。現場の問題点をトップダウンで指摘するのではなく、困りごとや失敗も隠さずに言い出しやすい雰囲気を作るなど、お互いに気付いたことをオープンに話せる場にすることで、マネージャー層や現場の社員が一体となり、品質保証の課題を議論する機会となっています。
 

今後もこれらの取り組みを続けながら、醸成度アンケートを通じた定点観測や課題の特定とアクションを継続的に行うことで、品質保証体制の強化につなげていきます。

現場ウォーク

各工場の事務局メンバーはこれらの取り組みについて、次のように話しています

滋賀工場事務局メンバー「品質は1つの部門や個人が作り出すものではなく、各部門がそれぞれの役割を果たすことで作られます。この活動をきっかけに、誰もが品質のことを当たり前に考え、気兼ねなく話すことができる環境を作っていきたいです。」

能登工場事務局メンバー「クオリティカルチャー醸成は品質保証部門だけで達成できるものではなく、ひとりひとりの日々の行動の積み重ねの結果、形成されるものと考えています。今後も引き続き皆さんと品質について考えるきっかけとなれる活動に取り組んでいきます。」
「失敗を隠さずに改善や予防策につなげることができ、より高品質なものを作ろうというメンバーの自発的な気持ちを引き出せる環境が、高い品質と安定供給につながっていくと考えています。」

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