眼内レンズの
選び方
眼内レンズとは、水晶体の代わりに目の中に埋め込むレンズです。レンズは直径6mm程で、目の中でレンズを固定するためのループが付いているものやプレート形状のものがあります。眼内レンズにはいくつかの種類があるため、ご自身に適した種類を選び、医師に相談する必要があります。
焦点距離で選ぶ
眼内レンズは水晶体のように、全てのものにピントを合わせられるわけではありません。適した眼内レンズを選ぶには、生活の中で一番見ている距離、見たい距離を考えることが重要です。なるべく裸眼でいられるよう、ご自身の生活スタイルに適したピントの距離を選びます。(ただし、眼内レンズにピント調節機能はないため、手術後もメガネなどが必要な場合があります。)
生活スタイルで選ぶ
ご自身の生活の中で行っている作業のうち、大切にしているものをもとにレンズを選ぶ方法もあります。見たい範囲が裸眼で明るく見える眼内レンズが「適したレンズ」といえます。それぞれの眼内レンズで明るくクリアに見られる範囲とご自身の生活スタイルを重ね合わせてレンズを選びましょう。
単焦点眼内レンズ
遠方・中間・近方のどこか一つにピントを合わせた眼内レンズです。ピントを合わせた距離の範囲内でクリアな視野が得られます。遠くに焦点を合わせた場合は手元を見るのに老眼鏡が、近くに焦点を合わせた場合は遠方を見るのにメガネが必要になることもります。また、単焦点眼内レンズはすべてのレンズが健康保険適用で、選びやすいのもポイントです。
多焦点眼内レンズ(低加入)
遠方・中間にピントを合わせられる眼内レンズです。ピントを合わせた距離の範囲内でクリアな視野が得られます。ハロー・グレアなどの多焦点眼内レンズ特有の不快な自覚症状を抑えるレンズもあります。手元を見るときにメガネが必要になることがあります。2019年4月より一部のレンズは健康保険適用になりました。
多焦点眼内レンズ(高加入)
遠方から中間または近方まで単焦点よりも広い範囲にピントが合わせられる眼内レンズです。幅広い距離にピントがあうため、ほとんどの生活場面において裸眼で過ごすことが可能ですが、見えにくい距離を補助するときにメガネが必要になることもあります。 ハロー・グレアなどの多焦点眼内レンズ特有の不快な自覚症状を抑えるレンズもあります。
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単焦点眼内レンズ
(遠距離焦点)遠くが見える
メガネの必要度 中~高
近くを見るとき
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単焦点眼内レンズ
(近距離焦点)近くが見える
メガネの必要度 中~高
遠くを見るとき
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多焦点眼内レンズ
(低加入)中間~遠くが見える
メガネの必要度 中
近くを見る時
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多焦点眼内レンズ
(高加入)近く~遠くまで見える
メガネの必要度 低
見えにくい距離を
補助する時
トーリック眼内レンズ
(乱視用)
白内障を治療するとともに乱視を軽減できるレンズです。単焦点・多焦点眼内レンズの双方にあります。角膜のゆがみによる乱視の矯正に適したレンズなので、乱視の種類や目の状態によっては、使用に適さない方もいらっしゃいます。
乱視
乱視とは、角膜や水晶体のゆがみが原因となり、ものの形をはっきりと見ることができない状態の目を指します。乱視の目での見え方は不均等になります。乱視の見え方は人によって異なります。
多焦点眼内レンズの注意点
眼内レンズを一旦挿入すれば、取り替える必要はありません。患者さんの目の状態・検査結果、必要な見え方によっては、多焦点眼内レンズが適さない方もいらっしゃるため、希望された眼内レンズが選択できない場合もあります。
見え方が合わない
ことがある
- ●精密な見え方が必要な職業の方
(カメラマン、デザイン関係、歯科医など) - ●夜間に運転する機会の多い方
- ●白内障以外の眼疾患などにより医師が不適と判断される場合など
ハロー・グレア
多焦点眼内レンズでは光の回りに輪が見える「ハロー」や光をまぶしく感じる「グレア」が出ることがあります。夜間に車を運転することがある場合は眼内レンズ選択時に検討が必要です。
コントラスト
感度の低下
コントラスト感度とは、濃淡を見分ける能力です。多焦点眼内レンズの使用でコントラスト感度が低下することがあります。術後すぐには気になっていた方でも、次第に慣れることが多いようです。また、まれに、時間が経過しても見え方に違和感が残る方もいます。
慣れるまで時間がかかる
手術直後から、すぐによく見えるとは限りません。見え方に慣れるまで数週間~数ヶ月かかることがあります。遠近両用のメガネやコンタクトレンズを使用されていた方は比較的慣れやすいといわれています。
メガネが必要なこともある
メガネを併用した方がよいこともあります。見えにくいときは無理せずにメガネを併用しましょう。