白内障の手術
白内障の手術は主に、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し(超音波水晶体乳化吸引術)、眼内レンズを入れるという方法で行われています。白内障が進行して、核が固くなっている場合は、水晶体の核を丸ごと取り出すこともあります(水晶体嚢外摘出術)。現在は、切開が小さくて体への負担が軽い手術が主流となってます。
手術が必要な方
症状が進行し、視力が低下するなど、生活に不便さを感じたら手術が検討されます。不便さや必要な視力は生活様式や職業で決まるので、患者さんによって異なります。たとえば、視力1.0に達していなくても、日常生活を送ることは可能です。ご自身にはどのくらいの視力が必要か、確認しておきましょう。
日常生活に不自由を感じるようであれば、眼科を受診しましょう。
白内障手術前の検査
白内障の手術を受ける前には、手術が問題なく行えるかを調べ、目に合う眼内レンズを選ぶために、眼底検査(網膜の状態を調べる)、細隙灯顕微鏡検査(水晶体の濁りの状態を調べる)、角膜内皮細胞検査(角膜の内皮細胞が減っていないかを調べる)、眼軸長検査(眼内レンズの度数を決める)などさまざまな検査を行います。眼内レンズはピントが固定されているので、手術前に医師と相談して、自分のライフスタイルに合った度数を選んでもらうことが大切です。
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- 見え方の検査
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- ・ 視力検査
- ・ 屈折検査
- ・ コントラスト感度検査
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- 目の状態の検査
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- ・ 眼圧検査
- ・ 眼底検査
- ・ 細隙灯顕微鏡検査
- ・ 角膜内皮細胞検査
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- 手術の為の検査
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- ・ 眼軸長測定
- ・ 曲率半径測定
- ・ 角膜形状解析
- ・ 波面収差解析
白内障手術の流れ
白内障の手術には、日帰り手術と入院手術があります。入院手術の場合、手術後の管理も含めて通常3~4日間ほど入院します。まずは手術1ヶ月前から検査が始まり、目の状態を調べたり、眼内レンズの種類や度数を決定したりします。手術1週間前には眼内レンズの度数を確定させます。手術前に使用する点眼薬が処方されます。
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白内障手術の
スケジュール例 -
- 術前検査
- 目の状態を調べたり、眼内レンズの種類や度数を決定したりします。
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- 手術
一週間前 - 眼内レンズの度数を確定させます。手術前に使用する点眼薬を処方します。
- 手術
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- 手術前日
- 明日に備えて入浴。また十分な睡眠を取りリラックスを心がけましょう。
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- 手術当日
- 手術は局所麻酔で行われます。不安にならずに精神的安定を心がけます。
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- 手術後
- 眼帯を装着します。翌日、1週間の時点での経過を検査します。
手術は局所麻酔で行われます。手術時間は目の状態により異なりますので、担当医師にお尋ねください。手術を受けるときは医師を信頼し、不安にならずに精神的安定を心がけましょう。
術後は翌日、1週間の時点での経過を検査します。両目の手術を予定している場合、先に行った片目の経過によって、もう片方の目を手術できるかどうかが決まります。
※術前・術後の検査の回数は、目の状態や病院の方針によって異なります。
最近では患者さんの全身状態や手術後の通院に問題なければ、日帰り手術を実施している施設もあります。日帰り手術は手術する医師側、される患者側にいくつかの条件があります。日帰り手術を希望される方は、医師とよく相談してください。
日帰り手術を受ける患者さんは
①通院できる人
②重篤な合併症のない人
③家族の協力が得られる人
などが条件となります。
(病院によって条件は異なります。)
日帰り手術を行う医師は
手術後の容態に対して夜間でも敏速な対応ができ、適切なアドバイスが可能でなくてはなりません。
手術前の注意(前日)
これらの注意は一例です。主治医の指示に従い、手術に臨んでください。
手術前の注意(当日)
これらの注意は一例です。主治医の指示に従い、手術に臨んでください。
手術後の注意(当日)
手術直後は、目が充血することがあります。また、目がゴロゴロする、涙がでる、目がかすむなどの症状が出ることもありますが、これらの症状は数日から1~2週間で治まります。手術後1~3ヵ月は、手術で起きた炎症を抑え、感染を防ぐために、医師の指示通りに点眼薬を使用します。
手術後の経過と養生
手術の翌日からでも、疲れない程度に目を使ってもかまいません。術後の見え方で、色調の違和感やまぶしさを感じることがあります。色調の違和感は次第に慣れていきますが、まぶしさが続くようであれば、症状を緩和するために色つきのメガネの使用をおすすめします。
仕事への復帰は早い時期にできますが、患者さんの全身状態や仕事の種類などによって違ってくるので、医師に相談してください。手術後しばらくの間は定期検診を受けましょう。
眼内レンズには、ピントを合わせる調節力がないので、メガネが必要になる場合があります。手術後2週間~2ヵ月頃には、視力が回復し安定してくるので、この時期に自分の視力に合ったメガネをつくります。
術後に現れる可能性がある症状
術後には次のような症状が現れることがあります。目がかゆい、痛い、見えにくくなったなど、術後に気になることがありましたら、主治医にご相談ください。
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- 飛蚊症
- 明るい場所で虫や糸くずのようなものが、目の動きに合わせて浮遊して見えることがあります。
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- 眼内レンズの偏位
- 何らかの原因で眼内レンズの位置が動いてしまうことがあります。
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- 術後眼内炎(感染症)
- 手術した箇所から菌が入りこんで目の中で増殖し、強い炎症を起こすことがあります。
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- 後発白内障
- 術後数ヶ月から数年して、手術で残した後嚢が濁って見えにくくなることがあります。
後発白内障のレーザー治療
白内障の手術後、数ヶ月~数年して、また「まぶしくなる」「目がかすむ」ことがあります。これは「後発白内障」といわれるもので、手術の際に残しておいた水晶体の後嚢が濁ってくるために起こります。後発白内障は手術の必要がなく、レーザーを使って簡単に濁りを取ることが出来ます。視力はすぐに回復し、入院の必要もありません。
眼内レンズの交換
検査や診察で異常が認められなくても、視野がぼやける・かすむなどの症状(Waxy Vision)が現れることがあります。場合によっては、挿入した多焦点眼内レンズを摘出して、単焦点眼内レンズに交換することがあります。単焦点眼内レンズに交換する際の手術は健康保険適用外となります。