世界視力デーのキャンペーンスローガン「LOVE YOUR EYES」
毎年10月第2木曜日は、国際失明予防協会(以降、IAPB)が定める「世界視力デー(World Sight Day)」です。今年のキャンペーンテーマは「LOVE YOUR EYES AT WORK ‐職場で目を大切にしよう」と定められ、主に労働者の失明や視覚障がいに対する意識向上と啓発を目的に、世界中で様々な活動が行われています。
今回は、IAPB担当者のインタビューを通じて、社会的な課題や背景から、なぜ職場におけるアイケアが重要なのかをお伝えするとともに、Santenが労働者の目の健康増進に取り組んでいる例についてご紹介します。
「世界視力デー」を制定したIAPBは、誰もが眼科医療にアクセスできる世界の実現に向け、医療関係者や大学・研究機関、企業やNGO等の幅広いネットワークを活用し、国際的な連携や取り組みをリードしている世界最大の国際組織です。眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、世界中の患者さんや生活者、医療関係者の皆さまへの価値ある製品やサービスの提供を通じ、人々の「Happiness with Vision」を実現することを目指しているSantenは、2021年にIAPBとパートナーシップ契約を締結し、連携を進めてきました。
■パートナーシップ契約に関するプレスリリースはこちら
https://www.santen.co.jp/ja/news/20210205.pdf
世界には、眼科医療サービスを受けることができず、予防可能な失明に至る人が約11億人いると言われています*1。失明はうつ病や社会からの孤立など、心理面からも生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼす可能性があり、失明予防は重要な社会課題のひとつでもあります。
また、2023年9月にIAPBと国際労働機関(ILO)が共同発表した「目の健康と仕事に関する報告書」によると、仕事に関連した目の不具合や障がいを抱える人は、世界中で約1,300万人にのぼり、毎年推定350万人が職場で目を負傷しています。また、目に不具合や障がいのある人の雇用機会は、ない人に比べて30%低いと報告されています。職場における安全性と生産性の向上には、目の健康を考えることが不可欠と言えます。
社会的な課題や背景を踏まえ、IAPBでは、今年の世界視力デーのキャンペーンテーマを「LOVE YOUR EYES AT WORK ‐職場で目を大切にしよう」とし、労働者だけでなく、経営者にもアイケアの重要性に気づいてもらうきっかけを提供しています。特に、コロナ禍以降はリモートワークによる長時間のデジタルデバイスの使用機会も増えており、日ごろから目の健康の大切さについて考え、アイケアを促すことは有意義です。
世界視力デーのキャンペーンスローガン「LOVE YOUR EYES」
今年のキャンペーン啓蒙ポスター
世界視力デーのキャンペーンを企画したIAPBコミュニケーション・ディレクターのサイモン・ダーヴィル氏は、次のように話します。「世界には眼科医療アクセスが十分ではないため、本来は予防できるはずの目の病気やトラブルで困っている人がたくさんいます。また、労働環境という視点で社会を見てみると、ドライバーや工場勤務者に加え、コロナ禍によるリモートワークの増加により目を酷使する人も増え、またその時間も伸びています。こうした社会的背景を踏まえ、今年のキャンペーンは職場におけるアイケアの意識向上を目的とし、広く一般の人々を対象にアイケアの裾野を広げる取り組みを推進します。このキャンペーンが一時的なムーブメントではなく、自分ごととして関心を高め、なんらかの行動を起こしてもらえることを願い、パートナー企業や組織と連携を図り、目の疾患や不具合に起因する社会的・経済的な機会損失の低減に貢献してまいります。」
IAPBコミュニケーション・ディレクター サイモン・ダーヴィル氏(写真中央)
*1. IAPB Vision Atlas: https://www.iapb.org/learn/vision-atlas/
Santenでは主に日本を中心に、これまでも労働者の目の健康増進につながる様々な活動に取り組んできました。その社内外の取り組みについて紹介します。
Santenはコードブック株式会社と協働で、健康経営*2に取り組む日本企業の業務パフォーマンス向上の一助となるべく、従業員向けのアイケアプログラム「アイケアチャレンジ!マンスリープログラム」を開発し、企業や法人を対象に提供しています。
健康経営実践企業が増加し、テレワーク浸透による従業員の目の不調が顕在化するなか、眼精疲労の軽減を中心に目の健康増進を目的としたこのプログラムは、①疲れ目・乾き目対策や目の病気に関する眼科専門医からのレクチャー②アスレチックトレーナーと理学療法士の監修による眼精疲労や首・肩こりを軽減するエクササイズ③眼科専門医が監修したセルフチェックツール④セルフケアを習慣化させるフォローアップの配信プログラムなど、パッケージ化されています。
これまでに、情報通信、調査・リサーチ、製造業などの様々な大手企業に導入されており、そのうちの1社であるコニカミノルタ健康保険組合の協力のもとアンケート調査を実施しました。その結果、プログラム参加後、目の調子が悪いと回答した人の割合は参加前の41%から18%に減少し、さらに目の疲れが軽減した人は、目の疲れが軽減していない人に比べて首・肩こりや頭痛が軽減した割合も高かったことが分かりました。
このようにSantenは、医療用医薬品事業を基盤として培ってきた、正しい医学的な知識に基づく様々なソリューション開発やサービス提供に取り組んでいます。
■本プログラムに関するプレスリリースはこちら
https://www.santen.com/content/dam/santen/global/pdf/ja/news/20221208.pdf
■2023年度統合報告書「健康経営への取り組み」
https://www.santen.com/content/dam/santen/global/pdf/ja/ir/document/202303/ar2023_03.pdf#page=9
*2 健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
Santenの日本国内にいる全従業員を対象にした眼科検診は、眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーであるSantenのユニークな取り組みのひとつです。従業員の目の健康に関する支援を主な目的として、2015年以降、3~4年に1度実施しており、一般的な健康診断で行われる視力検査だけでなく、眼圧や眼底、視野に関する項目を含む全9項目の詳細な検査を行います。目の病気の早期発見に有益であるだけでなく、目の不調による労働生産性の低下を防ぐという観点からも、先進的な取り組みとしてSantenの眼科検診は注目されています。
世界視力デーにあわせて、全てのSanten従業員を対象に、学び・体験・共有型の社内イベント「Vision Experience Weeks」が開催されます。このイベントは、目の健康の大切さについて考えるとともに、職場や身の回りにいる視覚に障がいがある人々への理解を深め、他者への思いやりについて学ぶことを目的としています。
期間中に用意されている多様なプログラムから特にユニークなものをご紹介します。
ひとつは、海外拠点やオフィスで開催する視覚障がいの疑似体験です。弱視ゴーグルやアイマスクを着用してパズルや読書をすることにより、見えづらい状態を体験・体感します。また、日本ではSanten従業員とその子どもを対象にした「親子で冒険!」イベントを本社オフィスで開催しました。
もうひとつは、視覚障がいやロービジョンの方々の日常の困りごとに対して、ビデオコールを通じて視覚の補助をするアプリ"ビーマイアイズ"を実際に体験するイベントです。ビーマイアイズとのパートナーシップ契約のもとで、EMEA、アジア、中国、米国の社員が有志でボランティア活動に参加します。
目隠しパズルに挑戦する親子(イベント「親子で冒険!」)