私たちは主に国内2拠点(能登、滋賀)および海外1拠点(蘇州)で年間約4億本の点眼薬を製造しています。一方で、その事業活動においては、温室効果ガスの排出や廃棄物の発生など、環境への負の影響が生じることも避けられません。地球環境保全という社会的責務を果たしながら事業の持続的成長を実現していくために、事業を行うすべての国・地域で、気候変動対策と環境負荷低減の2分野に取り組んでいます。その中でも今回は、環境負荷低減に向けた滋賀プロダクトサプライセンター(以下、滋賀PSC)の取り組みについてご紹介します。

生産能力を強化すると廃棄物量が増加するジレンマ

人口増加や高齢化による眼科医療への需要増加や治療ニーズと製品の多様化に対応するために、製品供給体制の強化に取り組んでいます。そのひとつ、生産拠点の強化として、2022年10月に滋賀PSC敷地内に新棟(製剤第3棟)を竣工しました。この新棟の稼働により、当該工場の医療用点眼薬の生産能力は初期稼働時比で約2倍の年間1.7億本(5mL換算)となり、生産キャパシティが大きく拡大しました。
一方で、生産現場では、品質確保のための試作品やラインを洗浄するための廃液などの廃棄物が発生します。その発生量は生産量に比例して増加するため、持続可能な事業基盤の構築においては、その対策が不可欠です。そのため、滋賀PSCにおいては、新棟竣工と同時に新たにリサイクル棟も増築しました。廃棄物マネジメント活動を推進し、その排出削減とリサイクルをより一層強化しています。

廃棄物を資源として活用するための取り組み

廃棄物マネジメントの土台はアセスメントです。担当者は、各生産工程においてどのような廃棄物が発生するのかを十分に理解し、その増減と原因を随時分析しています。その結果にもとづいて、リサイクルや削減に、どのタイミングでどのように取り組むのが最も効率的であるかを検討し、工夫を重ねています。
例えば、点眼容器に起因する廃プラスチック類については、その主な発生源となる製造プロセスを分析し、医薬品成分の付着状態や、容器の着色の有無、形状などによって細かく分類しています。そして、どのような形態で、どのようなタイミングで回収されるのが最も効率的であるかを検討し、そのままリサイクルするもの、分離分別するもの、粉砕するものなどの処理プロセスを決定します。このようにそれぞれに最適な処理方法を設定することにより、廃プラスチック類については、その全量リサイクルを実現しています。その他の廃棄物についても同様に、リサイクルおよび排出削減方法を継続的に検討し、実行しています。

ステークホルダーの皆さまとの価値創出

リサイクルは、Santenだけで完結する取り組みではありません。分別した廃棄物を回収し、実際に資源として再利用される、回収および処理業者の皆さまのご協力があって初めて実現するものです。より効率的なリサイクル活動を実施するため、輸送方法や作業工程をともに考え、協働を重ねています。さらに、業者さまのニーズやご提案をもとに、分別の徹底や最適な回収方法の具体化を行うことで、廃棄物の一部を有価物として売却することが可能となりました。また、改修の際に発生する金属くずなどは、それぞれ金属の種類に分別することで適正価格にて査定されています。これらの取り組みは、原価低減にも寄与しており、持続可能な生産体制の構築を支えています。
これからも、廃棄物を資源として活用していけるようステークホルダーの皆さまと協働して工夫を重ね、事業と社会の持続的成長を実現するとともに、地球環境保全への貢献を目指していきます。

 

滋賀プロダクトサプライセンター リサイクル棟

処分のため粉砕された点眼ボトル