2024年9月26日

新規作用機序による眼圧下降作用を有する緑内障および高眼圧治療点眼剤STN1012600(セペタプロスト点眼液)の日本における製造販売承認を申請

参天製薬株式会社(本社:大阪市、以下Santen)は、STN1012600(一般名:セペタプロスト)について、本日2024年9月26日付で国内における製造販売承認の申請を行いましたのでお知らせします。本剤は、小野薬品工業株式会社で創製されたセペタプロストを有効成分とするFP受容体およびEP3受容体デュアル作動薬です。眼圧下降剤としては新規メカニズムのプロスタグランジン誘導体の緑内障・高眼圧症治療剤で、セペタプロストを0.002%含有しています。

緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害されて視野欠損が進行し、適切に治療されなければ最悪の場合には失明に至る病気であり、今なお日本における眼疾患による視覚障害(視力低下や失明)の原因の第一位となっています1。緑内障の視神経障害および視野障害は、基本的には進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療によって進行をコントロールすることが不可欠で、眼圧を下げることが緑内障の進行を抑制する有効な治療法です。緑内障の薬物療法において、FP受容体作動薬、EP2受容体作動薬または交感神経β受容体遮断薬などによる眼圧下降治療は有効ですが、目標眼圧を達成するために単剤による治療が不十分な場合は、薬剤変更または異なる作用機序の薬剤を追加する併用治療が推奨されています2。しかし、使用する薬剤数の増加に伴うアドヒアランスの低下が問題となっています。また、薬剤治療抵抗性の患者さんに対する治療選択肢が限られていること、夜間眼圧への作用が十分でないことなども課題となっています3,4

本剤の有効性については、国内で行われた、第III相検証試験(多施設無作為化評価者遮蔽並行群間比較試験)において、緑内障治療の第一選択薬の一つである0.005%ラタノプロスト点眼液に対する0.002% STN1012600点眼液の1日1回点眼における眼圧下降効果の非劣性が検証されました。また、国内で実施された長期投与試験(多施設無作為化非遮蔽並行群間比較試験)において、0.002% STN1012600点眼液は、1年に渡り1日1回点眼での眼圧コントロールが示されました。安全性の面においてはFP受容体作動薬特有の結膜充血や睫毛・眼瞼の変化が本剤でも同程度認められました。一方、全身の安全性について重篤な副作用は認められませんでした。

Santenのチーフ メディカル オフィサーであるピーター・サルスティグは、次のように述べています。「緑内障は、日本における失明原因の第一位1となっており、数多くの患者さんが薬物療法を行っています。しかしながら、単剤で目標眼圧を達成出来ない場合も多く、作用機序の異なる薬剤の追加併用や配合剤を使用する必要があることから、アドヒアランスの低下や副作用の懸念がない新しい治療薬が望まれています。Santenは、緑内障を取り組むべき重要な疾患領域の一つと位置付け、長年にわたり様々な緑内障治療薬の開発と治療継続のためのソリューション提供を推進してきました。新規作用機序を有するSTN1012600の承認申請によって、緑内障治療現場のアンメットニーズを満たす、新たな第一選択薬提供の可能性を追求できることを大変誇りに思います」。

Santenは、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、より多くの治療選択肢を医療現場に提供することで、日本の緑内障患者さんのQOL向上に寄与できることを期待しています。

緑内障について
緑内障は、世界の失明原因の主な原因となっており、2013年の推定患者数は6,430万人で、2040年には1億1180万人に増加すると予測されています5。日本でも緑内障は失明原因の第一位であり1、40歳以上の日本人における緑内障の有病率は5.0%(原発開放隅角緑内障3.9%、原発閉塞隅角緑内障 0.6%、続発緑内障 0.5%)、高眼圧症は0.8%でした6,7。緑内障の有病率は、年齢とともに高くなることが知られており、日本の高齢化に伴って患者の数はさらに増加することが予想されるため、早期発見・早期治療がますます重要と考えられています。

<参考文献>

  1. Matoba R, Morimoto N, Kawasaki R, et al. A nationwide survey of newly certified visually impaired individuals in Japan for the fiscal year 2019: impact of the revision of criteria for visual impairment certification. Jpn J Ophthalmol. 2023;67(3):346–352.
  2. 緑内障診療ガイドライン(第5版). 日本眼科学会雑誌. 2022;126:85-177.
  3. Ikeda Y, Mori K, Ishibashi T, Naruse S, Nakajima N, Kinoshita S. Latanoprost nonresponders with open-angle glaucoma in the Japanese population. Jpn J Ophthalmol. 2006;50:153-7.
  4. 中元兼二. 緑内障に対する眼圧下降治療の現状と限界. 日医大医会誌. 2023;19(2):156-63.
  5. Tham YC, Li X, Wong TY, Quigley HA, Aung T, Cheng CY. Global prevalence of glaucoma and projections of glaucoma burden through 2040: a systematic review and meta-analysis. Ophthalmology. 2014;121:2081-90.
  6. Iwase A, Suzuki Y, Araie M, Yamamoto T, Abe H, Shirato S, et al; Tajimi Study Group, Japan Glaucoma Society. The prevalence of primary open-angle glaucoma in Japanese: the Tajimi study. Ophthalmology. 2004;111:1641-8.
  7. Yamamoto T, Iwase A, Araie M, Suzuki Y, Abe H, Shirato S, et al; Tajimi Study Group, Japan Glaucoma Society. The Tajimi study report 2: prevalence of primary angle closure and secondary glaucoma in a Japanese population. Ophthalmology. 2005;112:1661-9.

Santenについて
Santenは、眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、世界中の患者さんや生活者、医療関係者の皆さまへの価値ある製品やサービスの提供を通じ、人々の「Happiness with Vision」の実現に貢献することを目指しています。創業以来、「天機に参与する」という基本理念の下、130年以上にわたり人々の目の健康維持・増進を追求してきました。現在、眼科領域における医薬品の研究開発、製造、販売・マーケティング活動をグローバルに展開し、世界60以上の国・地域で約5,000万人の人々の目の健康をサポートしています。私たちのミッションは、眼科領域における専門性と患者さん視点から創出される製品やサービスを通じて、目の病気の予防や診断、治療において今まで提供されていない重要な価値を患者さんや社会に提供し続けることです。一人でも多くの患者さんが幸せで豊かな人生を過ごすことができる未来を創り出すため、世界中の人々が「見る」を通じた幸せを実感できる社会の実現に向けて全力を尽くしています。
詳細については、当社ホームページhttps://www.santen.com/jaをご参照ください。

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参天製薬株式会社 コーポレート コミュニケーション
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