Santenの製品開発では、コンセプトの実証、作用機序(Mechanism of Action: MoA )の初期理解、製品化など、一連のプロセスを可能な限り早く前進させることに尽力しています。患者さんの声や市場ニーズを考慮し、MoAへの理解を深め、 R&D戦略に反映しています。また、市場ニーズは規制環境あるいは商業環境にもなりうるので、すべてを包括してはじめて開発戦略が固まるものと考えます。さらにSantenは、ライフサイクルマネジメントによる製品価値最大化を目指し、継続的な製品開発能力向上に努めています。点眼容器の改善だけではなく、これまで検討してこなかった他の眼科疾患領域にも目を向けています。Santenは患者さんに最大の価値を提供するために努力しています。
新薬の開発には10年以上にわたる長い期間と、基礎研究から販売までの多様なプロセスが必要です。一人でも多くの患者さんが幸せで豊かな人生を過ごすことができる未来を創り出すため、Santenでは、研究・開発プロセスの効率化に努めています。そのため、Santenのグローバル拠点の施設活用による創薬・臨床開発により、世界の医療ニーズに対応した新製品をタイムリーに創出する体制を強化しています。 研究活動においては、社内の基礎研究、非臨床試験、製剤化研究を奈良研究開発センターに集約し、各セクションの知見を統合してより良い製品を生み出すとともに、外部機関においてはシンガポール眼科研究所(SERI)などの独自のネットワークにより、情報交換や共同研究がしやすい体制を構築しています。 また、緑内障治療用医療機器を開発するInnFocus社を2018年にSantenの傘下に迎えたことにより、当社の開発パイプラインはより一層強化され、眼科領域におけるグローバルな競争力を高めています。 日本、米国、欧州、中国をはじめとするアジア諸国、およびその他の新興国において、市場ニーズや規制を踏まえ、臨床開発の質と効率化の向上を進めています。
Santenは元の製剤をより最適に、ロジカルに改良した眼科用医薬品へと発展させることを強みにしています。継続的な製品改良の取り組みにおいては、例えば、防腐剤フリーの製品開発があります。防腐剤として使われている塩化ベンザルコニウム(BAK)は、アレルギーや充血等の反応を伴う場合があります。そこでSantenでは、BAK濃度を低減した製品、BAKフリー製品、更には防腐剤フリーの点眼剤を開発しています。患者さんの目の負担軽減等を目的に継続的な製品改良を行い、患者さんおよびドクターからも評価を得ています。
さらに、患者さんの服薬コンプライアンス向上の観点からも改良を重ねています。例えば、1日に4回または6回の点眼を必要とした自社製品の点眼回数の低減に取り組みました。その一例は2022年に日本で発売したドライアイ治療剤です。それまで販売されていた同主成分のドライアイ治療剤は1日6回点眼でしたが、新たな添加剤を配合することで1日3回点眼を実現しました。本点眼剤は臨床的有用性に加えて、患者さんの点眼遵守に貢献することが期待されます。