まず、苗木の土に水を充分に含ませて、
当社は、持続可能な地球環境に貢献するとともに、全ての人々が美しい世界を見つめ続けられるよう、生物多様性の保全、脱炭素社会の実現、循環型社会の形成を統合的に捉えた地球環境保全の取り組みを進めています。
生物多様性の保全については、事業活動を通じて具体的に何をすべきかを考えていくため、2024年3月に公益財団法人 地球環境戦略研究機関 国際生態学センター 主幹研究員である目黒伸一氏をお招きし、自然資本・森林の保全についての対話を行いました。そこで頂いた示唆をもとに、まずはできることから取り組みを開始。事業場における自然の回復を従業員とともに行うことを考え、今回、同じく目黒先生の指導のもと奈良研究開発センターの敷地内に小さな森を作ることにしました。
森づくりに参加したのは、社内の希望者とその家族14組29名です。特定の部門ではなく、各地から有志が集まりました。先生からなぜ森を作ることが大切なのか、どのように作れば良いのかについてお話を伺い、参加者全員で植樹を体験しました。
昔、世界中に物語に出てくるような大きな木があったそうです。それが今はありません。人間の歴史の中で木を切って農地を開くなど、様々な土地利用の目的で森が破壊されてきました。日本でも植林を進めてきましたが、杉やヒノキは元々その土地にあったものではなく、林内の生物多様性が低く、大雨・地震などの自然災害に対して脆弱で、倒木や崩落など人命を脅かす場合さえあります。また、存在すべき数をはるかに超えており、花粉症の原因にもなっています。本物の森、もっと自然の森はものすごく強く、水をため込む力もあるので、土砂崩れなどの災害を食い止めることもできます。近年、気候変動などによる自然災害が世界中で起きていますが、被害が拡大している原因の一つは「本物の森」がなくなってきているからだと考えられます。
点眼薬メーカーであるSantenにとって、「水」は製品の安定供給に欠かせない、特に重要な自然資本です。豊かな水資源を確保するためには、多様な生物の相互作用を育む、強くしなやかな森林が必要であり、その保全に向けて取り組んでいくことが重要と考えています。
本物の森を作るため、潜在自然植生※の構成種による植樹を行うことにしました。全国各地にある神社の鎮守の森などには、古来より伐採を逃れ保全された自然林が残されていることが多いことから、奈良研究開発センターの近くにある神社の森での調査からはじめました。森は、ただ木があれば良いのではなく、小さな木、中くらいの木、大きな木、多種・多様な木があることが大切です。どれか一つが優れているということはなく、様々な種類がまとまりで存在することで強くなれます。一人では生きていけないのは木も一緒です。今回は、調査の結果から15種類285本の苗木を植えることにしました。
植え方は、ランダムに樹種を混ぜて、杉植林などよりも高密度に植えます。難しく考えずに好きなように植えるのがポイントです。子育てと同じように、手をかけすぎても良くありません。
まず、苗木の土に水を充分に含ませて、
事前に耕しておいた土に穴を掘って植えていきます。
用意した苗木をすべて植え終わったら、束ねたわらを敷いていきます。わらを敷くことで雑草が生えるのを抑制し、土の水分を保ち、またこれ自体が時間をかけて栄養分になります。
敷いたわらが風で飛ばされないよう、荒縄で抑えます。
最後に残った水をかけて、
森づくり完了!あとは日々の成長を見守ります。数年後の姿を楽しみに。
子どもも大人も夢中になって土と触れ合い、思い思いに苗を植えることができました。奈良研究開発センターに本物の森づくりができたことは、当社の生物多様性と森林保全の取り組みの第一歩です。従業員とその家族も参加し、一緒になって森づくりを楽しむことができたことで、参加者の地球環境や会社への思いがより強くなりました。
私たちは、この森を、「Santen Eyeの森/奈良研究開発センター」と名付けました。Santenは、人々の目の健康維持・増進を追求し、「Happiness with Vision」の実現に貢献することを目指しています。愛と目という当社にとって大切な意味をEyeの文字に込めました。この森とともに、私たちも成長していきます。