クレールとは

 

株式会社クレール(以下、クレール)は参天製薬の特例子会社として1997年に設立されました。点眼薬の製造に欠かせない無菌服のクリーニングを中心に、生産現場の軽作業や総務、会計、その他オフィス系サポート業務など各種請負事業を行っています。従業員は総勢41名、うち、知的障がいのある社員32名が在籍しています。(2024年4月1日時点)

クレールは特例子会社として、またクリーニング事業としての長い運営実績があり、毎年国や県・地域の行政機関、支援学校や就労支援機関ほか民間企業からの見学や視察を積極的に受け入れています。障がい者が主体となって作業遂行できるように、業務工程を正確かつ効率的に推進する仕組み作りに努めており、さらには本人のスキルや経験、特性を活かしてステップアップできるリーダー・サブリーダー制度などを整備することで、本人の意向にあわせたキャリアパスの実現を後押ししています。

株式会社クレール代表取締役社長
浅井美和子

Santenグループの一員として患者さんに貢献

 

クレールは、生産現場で欠かせない作業服の無菌および無塵クリーニングという大事な役割を果たすことで、グループで働く社員とその先にいる患者さんに貢献しています。従業員は皆、そのために使命感と責任感を持って日々の業務に当たっています。

クリーニング業務というのは当日まで入荷数量がわかりません。日頃からこの数量の変動があることに加えて、コロナの感染拡大以降は、予防に細心の注意を払う従業員でも諸症状や同居家族の感染により出勤できず、作業者が十分に確保できない時期が続きました。それでもその日に出勤した社員が連携して高効率を維持する工夫を図り、中1〜2日という納期に間に合わせるよう毎日確実に出荷してきました。コロナ禍であろうと大雪が降ろうと、しっかりと品質と納期を守ることで、眼科薬製造の一翼を担うというのが、私たちの強い思いです。

クリーニングチームの作業風景

多様性を活かした柔軟な対応

 

私たちはクリーニングだけではなく、製造現場を支える戦力として工場内の製造準備や清掃業務にも職域を広げてフォークリフトやビルメンテナンスの資格を取得したり、工場の生産ライン業務に必要な、医薬品の製造と品質管理に関する基準であるGMPの教育を受けて、作業資格を取得して製造現場で活躍している社員がいます。また、各作業場で変動する業務量に合わせた対応をするため、製造がない日にはクリーニング作業や清掃業務を行うなど、日ごろから人の流動性を高める工夫を図っています。クリーニング各チームのセクションリーダー、サブリーダーは、障がい者手帳を持っているメンバーのなかでは最も責任がある立場で、作業の工程管理や若手社員への作業指導も任されています。他のメンバーの仕事の流れを確認して出荷の時間までに製品を出せるように各工程で調整を図るなど、時間内に作業が適切に完了できるようリーダーとも連携しながら業務を遂行しています。

現場で作業するサブリーダー

 

また工程をどれだけ単純化してわかりやすく、誰でも正確にできるようにするかは、円滑な業務遂行をするにおいて重要なポイントです。このような工夫は障がいのあるメンバーのためだけでなく、新しい作業者や協力会社への業務引き継ぎの際にも汎用できとても役に立っています。業務プロセスを上手に整理して可視化してくれるリーダー社員に恵まれていることも特筆に値するでしょう。例えば財務経理補佐として2016年に入社した一般社員は、途中からリーダーとして仕事を任されるようになり、今は管理職としてメンバーと作業の調整を図りながら、業務全般の管理を行っています。基本的に社員に残業をさせないよう、入荷数量が多いときや出勤者数が少ないときは、チーム間を行き来しながら状況を見極め、的確に調整をかけていきます。また、わかりにくいところがあれば手順書を作り壁に貼るなど、メンバー主体で作業が進められる工夫をする、また、それぞれの特性を見極めて、業務量や業務との相性、人と人の相性などいろいろな変数を組み合わせて対応してくれています。

参天製薬社員と打ち合わせをする管理職

もちろん作業をしている社員一人ひとりの努力も必要であり、粘り強く繰り返し作業に取り組む、毎日早めに来て自習するなど、社内のあちらこちらでたくさんの熱心な姿が見られます。クレールの社員は忠誠心が強く献身的で、向上心も高いのが誇りです。

共生社会の実現に向けた支援

 

障がいのある社員の就労定着にあたって直面する課題には、職場だけでなくプライベートが密接にかかわっている場合があり、日頃から支援機関や行政、ご家族などのステークホルダーと連携しながら仕事以外の生活面におけるサポートなども行い、社会的自立を促しています。なかには会社から得たきっかけで障がい者スポーツに取り組むようになり成果を上げている人もいて、これが仕事への活力につながっているようです。

障がい者スポーツ大会滋賀県大会(種目:ボウリング)

私たちは一人ひとりが持つ多様性を力に、世界中の患者さんに安定して安全な医薬品をお届けできるよう、努力と工夫を重ねながらこれからも生産現場を支えていきます。